乳がん・卵巣がんの
遺伝子検査ってどうやるの?
がん医療と遺伝子検査
がんに関連した遺伝子検査には、血液を用いて染色体や遺伝子が関与している生まれつきの疾患や体質を調べる「遺伝学的検査」と、がん組織などの体の一部分のみを調べる「体細胞遺伝子検査」があります。
遺伝子の変化を知ることで、がんの診断や治療選択などに役立てることができます。
BRCA1/2 遺伝子検査
BRCA1/2遺伝子検査は、BRCA1/2遺伝子に、がんとの関連が強い変化(病的バリアント)があるかどうかを調べます。
この検査は、HBOCの診断に使われるほか、PARP(パープ)阻害薬*の使用対象かどうかを調べるコンパニオン診断にも使われます。
*PARP(パープ)阻害薬:PARP(損傷したDNAを修復する酵素のひとつ)が機能することを妨げる薬剤。BRCA1/2遺伝子検査の結果が陽性の方にのみ効果がある薬剤です。
遺伝カウンセリング
遺伝カウンセリングは、染色体や遺伝子が関与している生まれつきの疾患や特性、体質に関するさまざまな問題を相談できるところです。患者さんだけでなくご家族の方もカウンセリングを受けることができます。
専門的な知識を持つ認定遺伝カウンセラーなどを中心に適切な情報をお伝えし、相談者の思いに寄り添いながら、最適な方向性をご自分で選ぶためのお手伝いをします。
HBOCに関わる遺伝カウンセリングは、遺伝子の変化が疑われた場合の遺伝子検査の前や、遺伝子検査の結果を伝えるとき*に行われ、診断後も継続して行われます。
*医療機関によってカウンセリングのタイミングや回数は異なります。
相談できる医療機関を探す
BRCA1/2 遺伝子検査の保険適用条件と費用
以下のいずれかの項目にあてはまる場合、BRCA1/2遺伝子検査が保険適用となります。保険適用となる場合の費用は約2~6万円(1~3割負担の場合。別途診察料、手技料が必要。)であり、高額療養費制度の対象となります。また、自費診療の費用は医療機関によって異なりますので、各機関にお問い合わせください。
BRCA1/2遺伝子検査の保険適用条件
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乳がんを発症しており、以下のいずれかにあてはまる
- 45歳以下の乳がん発症
- 60歳以下でトリプルネガティブの乳がん発症
- 両側で乳がん発症
- 片方の乳房で複数の原発性乳がん発症
- 血縁者*(第3度近親者以内)に乳がんまたは卵巣がん、膵臓がん発症者がいる
- 男性で乳がん発症
- 卵巣がん、卵管がん、腹膜がんを発症
- がん発症者でPARP(パープ)阻害薬に対するコンパニオン診断の適格基準を満たす場合
*血縁者の範囲:父母、兄弟姉妹、異母・異父の兄弟姉妹、子ども、おい・めい、父方あるいは母方のおじ・おば・祖父・祖母、大おじ・大おば、いとこ、孫などです。
※2023年12月時点
2020年3月以前に乳がん・卵巣がんと診断された方へ
2020年4月から、上記の保険適用条件を満たす乳がん・卵巣がんの患者さんは、HBOCの診断からリスク低減手術などの治療に至るまで保険適用となりました。
遺伝カウンセリングも保険適用となり、しっかり理解・納得したうえで検査を受けることができます。検査の結果、HBOCと診断された場合は、リスク低減手術を受けるかどうかを選択します。手術を希望しなかった場合は、HBOCによる乳がんを早期発見するために行う乳房MRI検査にも保険が適用されます。
気になることがあったら、医療機関に相談してみましょう。HBOCセルフチェックシートもご活用ください。